最後の客だったのでバー「カエサリオン」の田中さんと話してきた。彼と俺は全く違う業界にいるし、歩んできた人生も全く違うのだが、でも色々聞いて色々とためになった。彼はっもうかれこれ20年以上いわゆる水商売をしている。ひいて俺は技術者としては10年、社長業としては半年くらい。その差を、田中さんのカクテルを飲みながらゆっくり聞けた。
彼の作るカクテルは年月によって干涸びてるのではなく、より艶やかになっている。それはカクテルの出来だけではなく彼の客との距離の取り方、話しかけるタイミング、そういったものが全て合わさってそうなっている。それを少し感じられた。
このごろようやく他人の意見を聞けるようになったと思う。
俺は天才ではないし、たいした才能も持ってないと思うので正直社長業なんてどうかと思う日も多い。けれども俺が思うに自分で世界を変えて行ける人ではなくとも、先人の言葉に耳を傾けていける社長ではありたい。正直、この先どうなるのかはわからんが、世界一の企業にならんでもいい、しっかりと足を地に着けた仕事をして行きたい。
ただひとつだけ納得いかないのはカエサリオンの酒は微妙に割高感が残る事。うまいんだが・・・。なんでだ。まぁ、人生の教訓を得られるのでいいとする。酒としては割高感が残るが、過ごした時間は払ったお金の分だけの価値はあった。
俺がつきあっている人たちはこういう事にはお金を使わない人たちだけれども、今までもこんな感じで無駄に見える事に投資してきて必ずいい事があったから、別にいいや。
楽しかった。